近年、従業員の不正防止や安全のためと称して職場に監視カメラを設置する会社が増えてきているようです。
これはセキュリティー上必要な職場もあるようですが、中には四六時中モニタリングしている管理者もいるようで、従業員としては決して良い気分はしないものですよね。
こちらからは見えないのに、相手からはずっと見られているかも知れないというのは、何とも言えないストレスを感じるものです。
- そもそもどんな職場に監視カメラが必要なの?
- 従業員に告知無しで勝手に設置して良いの?
- 法律ではどうなっているの?
こんな疑問にお答えします。
実は私の勤めている会社にも、各工程に監視カメラが付いています。
そこで今回は実体験を踏まえながら、監視カメラを設置する事のデメリットについて考えていきたいと思います。
監視カメラはどんな職場で必要?
まず監視カメラを必要とする職場とは、どんな場所になるでしょうか?
身近にある監視カメラ(防犯カメラ)がある職場からみていきましょう。
- コンビニエンスストア
- 銀行やATM
- 郵便局
- 役所
- エスカレーター
- サービス業の店舗など
主にお金を扱う場所や公共の場で、防犯の意味で使われているのがほとんどだと思います。
こういう場所の監視カメラは、目的がハッキリしているのでカメラがあっても別に何とも思わないのではないでしょうか?
しかし、それがある日突然なんの連絡も説明も無しに、職場に監視カメラが設置されたらどうでしょうか?
きっと従業員は驚きと不信感とストレスが一気に押し寄せてくるのではないでしょうか?
いや、押し寄せてきました!
ではここからは、私の体験したお話をしたいと思います。
あくまで参考程度にご覧くださいね(;^_^A
実際の体験談
私の勤めている小さな町工場にも、映像のみの監視カメラが10台ほど設置してあります。
入社した時からありましたが、何の説明も受けていませんでしたので初めは気が付きませんでした。
同僚から教えてもらって初めて知った時は「何でこれが必要なの?」という疑問が浮かびました。
それがつい先日、新たに音声まで拾えて人感センサーまでついた高性能なタイプが増設されました。
今回はWifiで飛ばしてタブレットで見れるようにしたらしいのです。
これはテスト後に、事務所に設置されていました。
どうやら事務員が陰で悪口を言っていないか、悪さをしていないのかという動きまで把握したいようです(´-ω-`)
監視カメラに対するみんなの思い
これは従業員からしてみれば、会社から信用されていないと思ってしまいます。
これでは従業員みんなのモチベーションはダダ下がりしてしまいます。
大きな工場ならまだしも、町工場に監視カメラなんて今まで見た事も聞いた事もありませんでした。
同僚も私と同じ思いのようで、総じて「気持ち悪い」という意見ばかりです。
実際に働いていても、常にカメラの方が気になりますし落ち着きません。
時折すごくイライラすることもあります。
事務所には大きなモニターが数個並んでいて、暇さえあれば監視(盗聴?)しているようです。
訪問されるほとんどの業者の方も「なんでカメラがあるんですか?」と聞いて来られます。

私には分かりませんが、一応防犯上なんじゃないですかね?
といつも答えています。
機械代は安くみても、3~40万円は越えてます。
従業員みんなが働いて稼いだ会社のお金を、その従業員の監視のための機材に使うのはどうなのでしょうか?
中には会社なんて管理されるのが当たり前で、見られて困るような事をしなければ問題ないという方もいらっしゃいます。
しかし、実際理由も分からず仕事中ずっと監視されるのは精神的に苦痛でしかありません。
これは、経験してみなければ分からない事かも知れませんね。
人は監視されていると分かるとすごくストレスを感じてしまうものです。
歌手のASKAさんの、ネット集団による盗撮盗聴事件が記憶に新しいのではないでしょうか?
何年にも渡り、集団に監視され続けていたという話でゾッとしたのを覚えています。
試しにネットで「職場 監視カメラ ストレス」などで検索してみると、かなりの数の質問や悩み相談が出てきます。
なにより問題なのは、従業員に対して何の説明も無くその目的すら明かされていないという事なんです。
監視カメラは法的にはどうなのか?
これがまったく残念な事に、法的には合法なんです。
もちろん、トイレや更衣室といったプライベート空間に設置するのはNGですが、公的な場所へのカメラの設置は防犯上の理由など明確な理由であれば設置可能なんですね。
経営者の方からすれば、従業員の不正防止や防犯上の問題を解決できると思い込み導入されているのかも知れません。
しかしそのメリット以上に、従業員のストレスという大きなデメリットが発生している事に気が付いていない事がほとんどです。
息が詰まると言いますか、ホッとひと息つきたい時にも監視カメラがあるとゆっくり出来ないものです。
そしてその内、経営者に対して強い不信感を持つようになります。
この様な状況なのに、なぜ監視カメラを設置する会社が増えてきているのでしょう?
それは、法的には取り決めが無いからではないでしょうか?
会社が守るべきルールは?
特に法的には取り決まりがありませんが、経済産業省が取り決めた『ガイドライン』という物があるんです。
【経済産業省のガイドライン】
経済産業省からH16年10月に、モニタリング(監視)に関するガイドラインが発表されました。
- モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社内規定に定めるとともに、従業員に明示すること。
- モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定める事。
- モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社内規定案を策定するものとし、事前に社内に徹底すること。
- モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監査または確認を行うこと。
この様に定められているので、これを守っていない管理者は従業員からプライバシーの侵害で訴えられてもおかしくありません。
過去の裁判事例
過去に、実際に訴えられて裁判になった例もあるようです。
H24年5月判決 東京地裁
「監視カメラで自席を常に監視され、プライバシーを侵害された」という訴えに対し、
「カメラ設置はセキュリティー向上が目的であり、事務所全体を見渡すもので、特定の個人を監視するものではないから、プライバシーの侵害にはあたらない」というもの。
この事例では裁判で負けたようです。
誰でも目的も分からないまま監視されるのは、会社に信頼されてないように感じますし、決して気分の良いものではないでしょう。
不安にもなりますし、ストレスも溜まります。
ですので、会社を経営している方で今後監視カメラの設置をお考えであれば、上記ガイドラインを熟知しルールを守って導入される事を願います。
監視カメラを導入する事で社内の不正防止や防犯に効果があったとしても、従業員の士気を下げてしまって最悪退職者を出してしまうようでは、まさに本末転倒と言えるでしょう。
ある会社ではすでに、トラックのドラレコに会社への悪口を言っている様子が残っていて、それが原因で退職させられてしまったと聞きます。
悪口でクビ。
こんな事が実際に起こっているのです。
解決策は?
法的には防犯目的という事で違法にはならないので、裁判では恐らく勝てません。
労働組合があるならば、相談してみるのも一つの手です。
まずは、会社に目的を聞いてみる事をお勧めします。
「防犯目的」など納得できる回答があれば、カメラをそれほど気にする必要は無くなります。
そこでまともな回答が無い場合は、弁護士さんか労務士さんに相談してみると良いでしょう。
どうしようもない時は、思い切って転職するというのも一つの選択肢です。
一度きりの人生ですから、職場で無駄に監視されてストレスを溜めて身体や精神的に病んでしまうのはもったいないです!
しかしこれは、あくまでも最終手段だとお考え下さい。
普通に仕事をしていれば、気にすることも無いのが監視カメラです。
考え方を少し変えて、安全の為に付いていると捉えてみる。
何か不正を疑われたりした時など、いざという時の為の証拠になると考えてみる。
このように考え方・捉え方を変えてあまり気にしないようにすることが出来れば、それが1番良いのかもしれません。
それでもやはり気になる時は、まずは誰かに相談する事から始めてみましょう。
今回の事例を参考にして、何か良い解決策があると思います!
まとめ
- 監視カメラの公的な場所への設置は法的には合法
- モニタリングするには、経済産業省のガイドラインを守る義務がある
- 実際には従業員に何の説明も無く、強引に監視カメラを導入している企業が多い
- 不当な監視を受けた場合は、裁判する事もできるが現状では難しい。
- 不当な監視を受けた場合は、まずは弁護士さんか労務士に相談する。
いかがだったでしょうか?
目を疑うような事案が、現実に起こっています。
明日は我が身では無いですが、最低限の知識は頭に入れておいて損は無いと思います。
管理者に説明を求めて、応じてくれるようならまだ望みはあるかも知れませんが、それも拒否されるような場合は、身の振り方を考えてみる事も必要かもしれません。