自動車のリサイクル料金ってご存知ですか?
自動車のリサイクル料金は、新車を購入する際に一旦販売店に預ける形を取りますので、リサイクル預託金(よたくきん)とも呼ばれています。
中古車を購入すると必ず付いてくる用紙にリサイクル券というものがあり、これが「リサイクル料金を支払いましたよ」という証明書になります。
このリサイクル券の金額のことを、リサイクル料金と呼びます。
私は副業で中古車販売をしていますので、必ず取り扱うので馴染みがありますが、一般の方であれば何となく廃車の時に掛かる費用のことかな?くらいの認知度ではないかと思います。
車のリサイクル料金?何それ?知らな~い
売る時にいるんでしょ?
いやいや廃車する時だけ使うんでしょ?
とまぁ、こんな感じではないでしょうか。
いや、これが普通の感覚だと思いますよ。
だって、中古車を売り買いする時以外ほぼ車検証入れの中に入ったままなので、まず見る機会もほとんど無いでしょうから。
そこで今回は、このちょっと馴染みのない自動車のリサイクル料金(預詫金)について書いてみました。
では早速その正体を見てみましょう。
自動車のリサイクル料金とは
自動車のリサイクル料金とは、自動車を解体した時に出るゴミ(シュレッダーダスト、エアバック類、エアコンのフロンガス類)を処理するために掛かる料金(費用)のことです。
この自動車のリサイクル料金は新車を購入した時に販売店に預託し(支払い)、この時にその証明として販売店からリサイクル券が発行されるのです。
いつから始まったの?
平成17年(2005年)1月1日から施行され、「自動車リサイクル法」という法律で定められています。
現在は、年間約350万台もの自動車が廃車になり解体されています。
自動車を環境を考えて適正に解体処理するのには、シュレッダー類、エアバック類、エアコンのフロンガス類などの処理に多くの費用が必要となるのです。
それまでは、費用に圧迫された解体業者が適正な処理を行わなかったり、不法投棄するなど社会問題となっていました。
これを改善すべく政府が「事前に車の所有者から、解体時にかかる費用を負担してもらおう」ということで「リサイクル料金」が誕生したのです。
自動車のリサイクル料金の内訳は?
車のリサイクル料金は、全部で5つの項目の合計金額になります。
- シュレッダーダスト料金
- エアバック類料金
- フロン類料金
- 情報管理料金(380円又は480円)
- 資金管理料金(130円又は230円)
これら5つの合計金額でリサイクル料金が算出されています。
おおよその金額は表を参照されて下さい。
タイプ | 装備 | リサイクル料金 |
---|---|---|
軽自動車 | エアバック2個 エアコン | 約7千円~ 1万円 |
コンパクトカー | エアバック2個 エアコン | 約1万円~ 1万7千円 |
普通自動車 | エアバック2個 エアコン | 約1万円~ 1万8千円 |
中型トラック 大型トラック | エアバック2個 エアコン | 約1万円~ 1万6千円 |
大型バス | エアバック2個 エアコン | 約4万円~ 6万5千円 |
同じ車種でも、グレードによってエアバックの数が違ったりすると、リサイクル料金もわずかですが違ってきます。
車のリサイクル料金が掛からない車両は?
全ての車両に掛かるのかと思いきや、実は掛からない車両が存在します。
- 二輪車(原付・側車付きを含む)
- 小型特殊自動車
- 大型特殊自動車
- 被牽引車(キャンピングトレーラー他)
- レーシングカー
- 農業機械
- 林業機械
これらの車両には、リサイクル料金が掛かりませんので払う必要がありません。
車を売る時はどうなるの?
今お乗りのお車を売却すると、売却価格の他にリサイクル料金が返金されます。
ただし、業者によっては買い取り金額にリサイクル料金も含めて提示してくるところもあります。
ですので、買い取り金額を提示されたら「リサイクル料金は別ですか?」と業者さんに聞いてみて下さい。
悪徳業者の場合、コチラが素人だと分かるとリサイクル料金を返金しないまま買い取ります。(本来は買い取った業者が、リサイクル料金を車を売却したユーザーに返金するべきもの)
そして販売する時には、ちゃっかり車両代と別にリサイクル料金を請求するのです。
損をしないためにも、ここは覚えておきましょう。
自動車のリサイクル料金は、いつ何に使われるの?
もうお分かりかと思いますが、リサイクル料金は自動車の解体の時に使用されます。
それまでは(財)自動車リサイクル促進センターで管理され、解体時に出るシュレッダーダストのリサイクルとエアバック類のリサイクル、そしてフロンガスの処理代として使われます。
どの程度リサイクル出来るの?
リサイクルといっても、自動車の場合は鉄やガラス、プラスチックにゴムに繊維など、実に沢山の部品で出来ていますから、どの程度リサイクル出来るのか想像しにくいのではないでしょうか?
実は、なんと全体の約90%がリサイクル出来るのです!
- エンジンやボディーは中古部品として再利用
- ゴムは原材料として再利用
- ガラスは塗装剤などに再利用
- 繊維は熱エネルギーとして再利用
- エアバックは分解して金属部分を再利用
こうやって山積みされている廃車車両も、ほとんどがリサイクルされているんですね~。
しかし分かってはいても、中古車屋をやっている身としてはこの画像は心が痛みます。
一番のエコは、1台の車を長く乗り続ける事ではないかなと個人的には思います。
自動車のリサイクル券に関する疑問集
とかく馴染みの薄いこのリサイクル券。
ここでよくあるいくつかの疑問を、Q&A方式でお答えしますね。
Q:リサイクル券が返還されることはありますか?
A:あります。
それは自動車を外国へ輸出した場合に、その自動車の所有者(主に輸出業者)が輸出証明書類を提出した場合に返還請求が出来るというものです(法第78条)
それ以外は返還されることはありません。
Q:リサイクル料金に消費税はかかるの?
A:かかりません
リサイクル料金は、自動車リサイクル促進センターに委託されますので非課税となります。
中古で売買される際も、リサイクル料金の授受は「金銭債権の譲渡」にあたるので、消費税は非課税となるのです。
Q:リサイクル券を紛失した場合はどうすればいいの?
A:リサイクル券を紛失した場合、基本的に再発行は出来ません!
基本的には車検証入れにリサイクル券が入っているのが普通なのですが、中古車を購入した時に最初から入っていないというケースも考えられます。
しかし、リサイクル料金の支払いを証明する用紙を発行することは可能ですので安心して下さい。
ご自分のお車のリサイクル料金を確認したい場合も、この方法が使えます。
詳しいやり方はコチラをどうぞ。
まとめ
いかがだったでしょうか?
自動車のリサイクル料金のことがイマイチ分からなかったという方も、少しスッキリされたのではないでしょうか?
車検費用や税金と違って、あまり馴染みが無い制度ですので、業者によっては知らない内に損をしている可能性もあるのです。
中古車を購入する時は諸費用の中の一つに過ぎませんが、後々解体する時に使われている訳です。
この費用が90%ものリサイクルにつながるのですから、地球環境にとっても大切な制度だと思います。
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