最近の車のヘッドライトは、平成の初期くらいからガラスだったものがポリカーボネートへと切り替わりました。
これはガラスだと固いので、人と衝突した時に人へのダメージが大きいという理由からそういう流れになったようです。
ポリカーボネートですと、衝突時に人へのダメージも軽減出来ますし、飛び散りにくくなっていますので安全なんですね。
ポリカーボネートとは、プラスチック樹脂で出来ていて軽量・安全性・デザイン性に優れていてる反面、紫外線に弱く長年乗っていると次第に黄色く変色してしまうというデメリットがあります。
これは表面に施してあるコーティングが薄れてきて、紫外線の影響を防げなくなり黄ばんでしまうというものです。
「ヘッドライトの黄ばみを放っておくとどうなるの?」
「面倒くさいし、そのままでいいんじゃない?」
黄ばみを放っておくと、見た目が悪くなるだけでなく、最悪光量が足りずに車検に通らなくなる可能性があるからです。
なので私は、毎回ヘッドライトの黄ばみを取ってコーティングを施してから販売しています。
夜にライトを点けているのに暗いと感じたら、一度ヘッドライトの黄ばみを確認してみましょう。
そこで今回は、その黄ばみを除去する3つの方法をお伝えしたいと思います。
3つの方法とは?
黄ばみを取るやり方はネットでも多数紹介されていますので、この記事では他のやり方についても触れてみたいと思います。
3つのやり方は次の通りです。
- ヘッドライトをコンパウンドで磨いてコーティングする
- ヘッドライトユニットごと新品に交換する
- ヘッドライトのレンズ部分だけ新品に交換する
ただし2・3に関しては高額な費用(~30万円)がかかりますので、レンズの内側がくもってしまったり外側にヒビが入ってしまったりした場合の最終手段だとお考え下さい。
最近では新しい方法として、ヘッドライトスチーマーという方法もあります。
これは薬剤をスチームすることでコーティングする技術です。
しかし、施工するスチームの薬剤がジクロロメタンという猛毒なのと、施工後にクラック(ヒビ割れ)などのトラブルが多いようなので今回は外してあります。
この技術は確かにキレイになるように見えるのですが被膜が薄く、手で撫でた程度ですぐに傷が入るようで取り扱いをやめるショップも多いとか。
なので3つの方法に絞ってお伝えしたいと思います。
それでは順番に見ていきましょう。
1.ヘッドライトをコンパウンドで磨いてコーティングする
これがもっとも一般的なやり方だと思います。
手順は以下の通りです。
- ヘッドライトを水洗いして埃を落とす
- マスキングテープを貼る
- 耐水ペーパーで磨く
- コンパウンドで磨く
- ベース剤で磨く
- 脱脂剤で油分を取り除く
- コーティング剤を塗布して拭き上げる
- 乾燥させる
では準備するものを説明します。
準備するもの
まずは以下のものを用意して下さい。
- ウエス
- 耐水ペーパー(800番、1500番、2000番)
- 耐水ペーパー用スポンジ
- バケツ
- 傷消し液体コンパウンド(3000番、7500番、9000番)
- マスキングテープ
- 脱脂剤とキッチンペーパー
- コーティング剤とティッシュペーパー
- 薄手のビニール手袋
コーティング剤に関しては、じつに沢山のメーカーから出ています。
その中でも、私が使っているものをご紹介しますね。
これは車屋さんやディーラーでも使っているものになります。
ちなみにディーラーで頼むと左右で工賃3,000円程度が多いです。
カーショップだと工賃5,000円~10,000円と様々です。
1つはワコーズのハードコート復元キットです。
ワコーズの製品は良く出来ていて、愛用されている車屋さんも多いです。
カーレースのスポンサーとして有名なメーカーです。
大きめのホームセンターなどでは取り扱いがありますが、ほとんどの方がネットで購入されているのではないかと思います。
もう一つがコチラ。
リンダのヘッドライトコーティングシステムHD-1です。
これは最近使いだしたんですが、時間短縮である程度の黄ばみを落とすのには最適です!
ものの10数分で終わります。
どちらを選択してもほぼ同様の仕上がりとなりますので、お好みで選んで下さい。
私の場合は2つとも購入し、最近はリンダを使う頻度が多くなってきました。
参考までにワコーズの場合は作業時間約2~3時間、リンダの場合は耐水ペーパー・コンパウンド工程を省いて約15分程度です。
リンダのベース剤が強力で、ある程度の黄ばみ程度ならこれだけでキレイになる場合が多いです。
それでも黄ばみが酷かったり小傷が多い場合は耐水ペーパーとコンパウンドの工程を行いますのでワコーズと同程度の作業時間になります。
これも黄ばみ具合によってまちまちですので、目安としてお考え下さい。
どちらもややお値段が高めですが、約2~3年分の量がありますので長い目でみればお得だと思います。
※全ての工程で薄手のビニール手袋をしていた方が安心です。
※ペースト剤は手荒れなどの恐れがあります。
では順番に見ていきましょう。
1.ヘッドライトを水洗いして埃を落とす
まずは磨く前に、ヘッドライトを水洗いし砂や埃などを落としておきます。
そうしないと傷が付いてしまう可能性があるからです。
洗剤は使わなくても大丈夫です。
洗ったあとは水分をよく拭き取っておきましょう。
2.マスキングテープを貼る
ボディーに傷が付かないように、ヘッドライトの周りにマスキングテープを貼っていきます。
個人的には、ボンネットを開けて作業した方がやりやすいと思います。
その分マスキングしないで済みますし、ボンネットに傷が付くのも防げます。
カーブしている場合は無理に1枚で貼らずに、細かく分けて貼っていくようにしましょう。
3.耐水ペーパーで磨く
さて、下準備が整ったところでいよいよ磨き作業に入ります。
今回は黄ばみが酷い場合のやり方で、それほど黄色くない場合は2000番から始めても良いでしょう。
耐水ペーパーを使うので、あらかじめバケツに少量の水を入れておきます。
まず粗めの800番をスポンジに巻いて、バケツで耐水ペーパーを水で濡らして磨いていきます。
磨きだすと水気が無くなってくるので、そうなったらまたバケツの水につけて補給しながら作業しましょう。
800番で磨いていくと、かなり白くなるので初めてだとちょっとビビりますが大丈夫です!
工程を進めていく内にキレイになっていきます。
黄色っぽい水が出てくるので、それが無くなるまで磨いていきます。
白っぽい水に変わったら終了します。
磨き終わったらウエスで水拭きして、削りカスなどを取り除いて下さい。
そしたら次に1500番に変えて同じように磨いていきます。
先ほどの800番で磨いてついた傷を消すようなイメージで行います。
そして同じく水拭きしてから、2000番で更に磨いていきます。
少しずつ黄ばみが薄れてきているのが分かると思います。
POINT
手作業でやる場合はかなり根気が必要なので、電動ドリルの先にバフを付けて最も遅いスピードで磨くと楽です。
番手毎にバフを交換しないといけませんので若干費用が掛かりますが、時間は半分以下で済みますので余裕がある方にはおススメします。
4.コンパウンドで磨く
耐水ペーパーである程度磨き終えたら、今度は液体コンパウンドで更に磨いていきます。
これは耐水ペーパーでは取り切れない細かい傷を消していく作業になります。
これをやらないと、再び黄色くなるのが早くなってしまいますので、念入りに作業します。
3000番で磨いていきます。
終わったら水拭きして7500番~9800番とかけていきます。
ここまでくると、かなりキレイになっているハズです。
手磨きの場合、この時点で1~2時間ほどかかってしまうでしょう。
時間に余裕を持って作業するようにしましょう。
たまに液体コンパウンドの代わりに、ピカールを使う方もいますが私は使いません。
1度試した結果、液体コンパウンドの方が仕上がりが良かったからです。
5.ベース剤で磨く
ここでようやく付属のベース剤で磨くことになります。
【ワコーズの場合】
付属のスポンジにベース剤を適量つけて磨いていきます。
磨き終わったら固く絞ったウエスで拭き上げます。
【リンダのHD-1の場合】
HD-1は容器を良く振ってから使用しましょう。
ベース剤をウエスにつけて塗り込み10~20秒ほど置いてから、固く絞ったウエスで拭き上げます。
汚れが落ちきれない場合は、同じ作業を繰り返します。
ウエスはこのくらい黄色くなります!
これは耐水ペーパーをかけないで、いきなりベース剤で磨いた時の画像です。
ペーパーかけをやった後だとここまではなりません。
参考動画です。
6.脱脂剤で油分を取り除く
ここで1度脱脂してあげるとコーティングの乗りが良くなります。
キッチンペーパーに脱脂剤をスプレーし、ヘッドライトを拭いて脱脂します。
キッチンペーパーだと粉も糸くずも出ないのでやりやすいです。
ここで埃や汚れが残っていると、その上からコーティングしてしまう事になるのでよく見ながら作業しましょう。
7.コーティング剤を塗布して拭き上げる
いよいよコーティング剤を塗布していきます。
ティッシュペーパーを1枚用意して折り畳み、そこへコーティング剤を少量つけてからヘッドライト全体に塗り込んでいきます。
ビフォー
アフター
ビフォー
アフター
ビフォー
アフター
塗り終えたら、左右のヘッドライトをチェックしてムラが出ていないか確認します。
もしムラが出ている個所があったら、ティッシュで撫でてキレイにしておきましょう。
8.乾燥させる
実はここが重要ポイントになります!
まず、コーティング塗布後は水に濡らしてはいけません。
作業後は最低12時間は乾燥させる時間が必要です。
完全硬化まで約1日は必要になりますので、天気予報を見てから作業するのは当然として、作業後にカーポートやガレージなど雨に濡れない場所へ車を移動しましょう。
どうしてもそういう場所がない場合は、晴れの日を狙って作業するようにします。
POINT
水に濡れてしまうとせっかくかけたコーティングが流れてしまい、すぐにまた黄色くなってしまいます。
それとコーティング直後にスピードを出して走ってしまうと、最悪ヘッドライトに虫などが付着してそのまま固まる可能性があるので、しばらく動かさない方が良いです。
効果はどれくらいもつのか?
ここは気になる所だと思います。
原因が紫外線である以上どうしても再び黄ばんできます。
コーティング剤はあくまでそのダメージを遅らせるためのものですので、1度施行したら終わりではないのです。
例えば青空駐車の車とガレージ保管の車では、その後の紫外線によるダメージに差が出てきます。
ですので青空駐車の場合は約3カ月程度、ガレージ保管車ですと半年~1年(状態がよければもっと長く)くらいで再施工しないといけません。
純正のコーティングがダメになったら、定期的に磨いてコーティングしないといけないものだとイメージしておいて下さい。
ヘッドライトユニットごと新品に交換する
いくら磨いてもキレイにならない場合や、レンズの内側がくもってしまった時は、思い切って新品に交換する方法があります。
ただしこれは最終手段であって、この先その車に何年乗るのか?などが関係してきますので、良く考えてから行いましょう。
1~2年後に売却するようなら、交換するのは勿体ないですからね。
新品ヘッドライトの価格は車種によりまちまちですが、片方でおよそ5万~15万円くらいはかかります。
それとお店で交換する場合は更に工賃が掛かってきますので、その辺も予算に入れておくことが必要になるでしょう。
ですので左右交換となると、およそ15~40万円くらいはかかると思います。
詳しくはディーラーや修理工場で聞いてみて下さい。
またレンズ単体で部品が出る車種の場合は、新品レンズとヘッドライトユニットを郵送することで工賃15,800円でから割作業してレンズ交換してくれる業者もあるようです。
詳しくはヤフオクで「ヘッドライト から割」で検索してみて下さい。
ただしその時はヘッドライトを車から外す必要がありますので、ご自分で取り外しが出来ない時は修理工場などで依頼しないといけません。
ヘッドライトのレンズ部分だけを新品に交換する
これは最近ようやくアフターパーツが出始めた所です。
日産のS15シルビア、BNR34GT-R、BCNR33GT-Rの3車種に限られますが、ワイズスクエア(ベールマン)というメーカーから販売されています。
私のGT-Rの場合は、右側の内側が汚れてしまっていたので、表面をいくら磨いてもキレイにはなりませんでした。
そこでこの製品を購入して、自分でヘッドライトを取り外してショップさんに送り、交換してもらいました。
この方法だと、工賃を入れても5~6万円で左右のヘッドライトのレンズ交換が出来ますのでかなりおススメです♪
キットの内容は、左右のリペアレンズと取り付けに必要な純正のブチルゴムが付属しています。
製品の品質も良いですし、出来上がりは感動するほどでした!
ヘッドライトユニットが高価でさらにレンズ単体で部品が出ない場合は、このようにアフターパーツで交換するという手段があるということです。
コチラの記事で詳細をまとめています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
いくらこまめに洗車したりコーティングかけたりして車をキレイにしていても、ヘッドライトが黄ばんでいては台無しですよね。
ご自分で磨いてみるもよし、ショップさんでやってもらうもよし。
選択肢は多いので、どの方法が良いかよ~くお考えの上お試し下さい。
ヘッドライトがキレイになるだけでも、車が生まれ変わったみたいに感じますよ!