最近のニュースでよく見かける『アクセルとブレーキの踏み間違い』による交通事故。
先日起こった、池袋の87歳の高齢者が運転する車の暴走事故も記憶に新しいのではないでしょうか。
この事故では横断中の母子が犠牲となってしまいました。
同じ年頃の子供を持つ親として、このニュースには非常に憤りを感じました。
私も車を27年間運転していますが、そんな経験は1度もありません。
単にマニュアル車だからかも知れません。
でも仕事柄AT車に乗る機会も多いですが、それでもアクセルとブレーキを踏み間違えるという状況になった事が無いのです。
ニュースを見る度に、一体どうしたら踏み間違いが起こるのだろうか?と疑問に思っていました。
そしてニュースに出ている、踏み間違えた方が口を揃えて言うのが「車が急に発進した!」「ブレーキを踏んでいるのに車が止まらなかった!」「バックしようとしたのに車が勝手に前進した!」という『車が悪い発言』です。
さも自分は正しく操作していましたと言わんばかりに、そういう言い訳を発言しています。
では本当に車が悪いのでしょうか?
事故後の車の調査では、ほとんどのケースで異常は見つかっていません。
もうお分かりですね。
つまり、運転者には踏み間違えているという認識がないようなのです。
ではなぜ、踏み間違いは起こるのでしょうか?
そして、それを防止する方法はあるのでしょうか?
その原因や対策を見ていきたいと思います。
アクセルとブレーキの踏み間違いの原因
私はこれは高齢者だけの問題なのかと思い込んでいましたが、今回調べてみて驚きました。
交通事故分析センターによる『アクセルとブレーキの踏み間違い事故』の分析レポートで、次のようなデータが発表されています。
年齢 | アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故の割合 |
---|---|
24歳以下 | 1.5% |
25~54歳 | 0.8% |
55~64歳 | 0.9% |
65~74歳 | 1.5% |
74歳以上 | 3.1% |
60歳以上の高齢者による事故も多いのが分かりますが、24歳以下の若い世代でも発生しています。
これは意外で驚きました。
そしてそのほとんどが、車が停止状態から発進した時に発生しています。
駐車場から出る時や駐車料金を支払う時、そしてお馴染みのコンビニエンスストアの駐車場で店舗に突っ込む事故などがよく起こっています。
そして、後退(バック)時にもこの手の事故が多く、立体駐車場から車が落下したなどのニュースもよく耳にしますよね。
では一体なぜ踏み間違いが起こるのか、ケース別に対策も含めて見ていきましょう。
ケース①同じ踏み込むというペダル操作によるもの
ご存知の通り、AT車にはアクセルとブレーキの2つのペダルがあります。
このどちらも『踏み込む』ことで動作する装置になっています。
そしてアクセルもブレーキも右足だけで操作する形が一般的です。
稀に左足ブレーキを使う良いという情報もあります。
右足でアクセルを、左足でブレーキを踏むというように左右の足を使った運転方法です。
しかしそれは一部のレーサーの方が使われているようですが、一般的には普及していない操作方法になります。
このように同じ操作をするペダルが並んでいる以上、年齢を問わず踏み間違える可能性はあるようです。
特に初心者や運転に慣れていない人ほどその傾向があります。
【 対策 】
これに関しては、AT車である以上仕方のない部分ではあるのですが、最近TVでも紹介されているナルセ機材有限会社が販売している「ワンペダル」が有効です。
これはアクセル・ブレーキの2つのペダルを、1つのペダル操作に変換して操作する物です。
踏めばブレーキになり、右に傾ければアクセル操作が出来ます。
現在注文が殺到しているらしく、納期に時間がかかるようです。
価格は約20万円とかなり高額になりますが、このペダルに交換された車での踏み間違い事故は報告されていないようですので、費用対効果は高いと言えるでしょう。
詳しくはコチラから。
ケース②姿勢変化によるもの
次に考えられるのが、姿勢変化により足がペダルから離れるということです。
そもそも自動車の運転はペダルを見ながら運転はしませんよね?
車のドライバーは、足の感覚だけでペダルの操作をしています。
それが後退時などで体の向きを変えた時や、駐車場のチケットなどを取るために身体を伸ばした時などにペダルから足が離れてしまうのです。
それが高齢になるほど出やすいという研究結果も出ているようです。
ブレーキに乗せている足が姿勢の変化時に無意識の内に離れてしまって、アクセルペダルに乗ってしまい車が動き出してしまう。
このようにして「ブレーキを踏んだのに車が勝手に走った!」が発生している訳ですね。
そしてこの状況の時には、脳の前頭葉と前頭前野皮質(ぜんとうぜんひしつ)がストレスを感じ機能不全に陥っている事が多いのです。
そうすると強いストレスにより、脳は機能不全を起こす前の動作を繰り返してしまうのだそうです。
「ブレーキを踏んでいるのになんで車が止まらないの?!」と更にブレーキを踏んでいるつもりでアクセルを踏み続けてしまうのです。
これは調べていて「なるほど!」と納得出来ました。
【対策】
これを防ぐ方法としては、以下の事が有効だと思われます。
- 駐車場のチケットなどを取る場面では、なるべく機械に寄せて止める
- 寄せれない場合は、DレンジからN(もしくはP)にしてサイドブレーキをかけてからチケットを取る
- 事前精算機があれば活用する
- 後退時(バック時)は、AT車のクリープ現象(アクセルを踏んでいなくても少しずつ動く)を利用してブレーキ操作のみで行う
ケース③運転意外の行動をした時
これは特に若い方に多いのですが、運転中のスマホの操作やハンズフリーを使った通話などです。
自動車の運転というものは、目で前方や後方の状況や車のメーターなど様々な情報を把握しながら、耳では踏切音やクラクションなどを聞いて非常に多くの神経を使うものです。
その運転をしながらスマホを操作したり、通話をしたりする行為は注意力が散漫になり車の操作に集中出来なくなってしまいます。
「見えているから大丈夫!」
「自分は運転が上手いから、このくらい平気!」
などと思っている方が多いようです。
しかし事故という物は、一瞬の判断の遅れが原因で起こってしまうものです。
もし駐車場から出る時にスマホを操作していて、後ろを通る歩行者に気が付いて慌てて急ブレーキをかけたつもりがアクセルを踏み込んでしまったら、、、。
人間は注意力が散漫になると、とっさの時にまともな判断ができず、急ハンドルを切ってしまったりブレーキとアクセルを間違えてしまったりとパニックに陥りやすくなります。
【 対策 】
これに関しては、ごく当たり前のことに注意するだけで防げます。
- 車の運転中は電話に出ない
- 車の運転中はスマホに触らない
- カーナビやオーディオも運転中は操作しない
- 運転中に探し物をしない
上記の事柄は、車を安全な場所に停めてから行いましょう。
ケース④乗りなれない車に乗っていた
レンタカーや知人の車など、普段乗り慣れていない車に乗った時も踏み間違いは起こるようです。
たとえば、軽自動車と普通車ではペダルの位置が違います。
軽自動車は車幅が狭い関係で、2つのペダルの位置が近くにあります。
普段普通車に乗っていて、急に軽自動車を運転するとそのペダル位置の狭さから、ペダル操作を誤る可能性があるのです。
【 対策 】
レンタカーなど普段乗り慣れない車に乗る時は、エンジンをかけて動かす前にシートに座ってペダル位置や、操作方法を確認するクセをつけておくと安心です。
現代の踏み間違い対策
現在多くの自動車メーカーで『踏み間違い防止装置』の開発が進められていて、すでに実車に導入されてきています。
代表的なものとしては次のようなものがあります。
- 自動ブレーキ:センサーやカメラを使用し、人や障害物を検知すると自動でブレーキを掛ける装置
- 誤発進抑制装置:低速時にアクセルペダル開度速度を検知し、アクセルを急に開けた場合に、コンピュータ制御により急ブレーキをかけたりエンジンを停止させる装置
- シフト・ロック機構:急激なアクセル操作を行った際に生じるシフトダウン(キックダウン)を自動で抑える装置
それでもまだ完全な物ではなく、自動で止まると思ったら止まらなかったという事故のケースも報告されているようです。
そして身近なところで有効的だと言われているのが、オートバックスさんが販売している『ペダルの見張り番』です。
お値段は税込32,399円とかなりリーズナブル。
【 オーバーアクセルキャンセラー機能(OAC) 】
間違えてアクセルを踏んでしまった場合、警告音で知らせてくれて更に車が急発進しません。
制御レベルも3段階から選べて、軽自動車~ミニバンまで対応車種は100車種以上!
【 ブレーキオーバーライドシステム(BOS) 】
アクセルとブレーキを同時に踏んだ場合に、ブレーキ動作の方が優先される機能です。
詳しくはお近くのオートバックスさんでお問合せ下さい。
近年、万が一の事故に備えてドライブレコーダーを付ける方が増えています。
取り付け方などを知りたい方はコチラをどうぞ。
まとめ
2019年になってから、頻繁にニュースで報道されている「アクセルとブレーキの踏み間違い」による交通事故。
幼い子供や女性が犠牲になるケースも多く、残された遺族の事を想うと胸が痛みます。
ここ最近は特に高齢者の方の事故が目立ちます。
免許証の返納が話題になっていますが、それだけでは防げない問題もあるように思います。
世の中の車が全てマニュアル車であれば、ほぼ踏み間違え事故は無かったのでしょうが、今や新車の90%以上がAT車の時代です。
それは今更どうしようもない問題です。
いくら車の技術が進んでも、それを動かすのが人であることはこれから先の時代も変わらないのかなと個人的には思います。
自動運転技術の進歩もすさまじいですので、もしかしたら近い未来に完全自動運転の車が世に出てくるかも知れませんが、それが世に普及するのはもう少し先の時代でしょう。
私も数十年後にAT車に乗るようになったら「ペダルの見張り番」を取り付けてみたいと思います。
そして周りから運転が危ないと言われたら、そっと免許証を返納できる大人になりたいです。
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