まさか1年後にはコロナ感染が広まり、容易に海外旅行が出来なくなるなんて想像もしていなかった2019年の春。
私は縁あって、乗船スタッフとして2度目になる世界一周の旅に出ることになりました。
1度目は客として家族と一緒に乗船し、ただただ楽しい思いをしたのですが、今度はスタッフとして責任ある立場での乗船でした。
また、まだ小さい子供たちと、3か月以上も会えないことに躊躇しなかったといったらウソになります。
でも、私の友人でも同じく子供たちとは離れて、乗船スタッフとして旅をした人もいたこと。
また、夫が「 行ってくれば? 」と送り出してくれたことで思い切れました。
それだけ船旅には魅力があるからです。
そしてこの機会を見送ったらいつか後悔すると思ったから。


世界一周旅行の乗船スタッフの生活( 船内生活 )
1983年に設立したピースボートが第1回目のクルーズを出航してから、36年後の4月に私がスタッフとして乗船したクルーズは第101回目でした。
これまで老若男女問わず多くの乗船客を乗せて旅をしてきましたが、その多くは日本人でした。
そのピースボートクルーズにも2016年以降外国から、特にアジア諸国の人たちも続々と乗船されるようになりました。
その外国人乗客の対応業務が私の仕事でした。
船内の1日のスケジュールや船内プログラムを紹介する船内新聞をはじめ、寄港地の情報などを乗客の言語に翻訳するのが私の主な仕事でした。
毎日朝からずっとパソコンの前で作業をしていましたが、船内では乗客に対して色々なプログラム( 企画 )が毎日にように開催されていました。
私も時々は時間を調節して、休憩時に参加することもありました。
そうでなくても休憩時や用がある時にちょっとデッキに出て、青い海や青い空を眺めるだけでも気分がリフレッシュしたものです。
またスタッフ専用の食堂では他の部署のスタッフとも知り合え、この後に紹介する寄港地を一緒に回ったりしました。
船内にあるバーや居酒屋もスタッフも使用することが出来たので、時には業務後に同僚や時には乗客の方たちと飲みに行くこともありました。
陸での仕事と同じく、洋上の仕事も色々ストレスがあります。
陸とは違って家に帰ってホッとすることが出来ない代わりに、同僚たちとワイワイ過ごすことがストレス解消になっていたのだと思います。

長旅になるのでストレス発散は必要です。
第101回 世界一周の旅( 寄港地 )をご紹介します!
横浜港や大阪港から乗客を迎えてから船は日本から世界に向けて出港し、104日間かけて21か国の寄港地を回りました。
寄港地に着くと、まず待っているのはお客様の下船の誘導やサポートなどの業務でしたが、その後は私も寄港地を楽しむ時間を取ることができました。
スタッフとして乗船した私の目線で、これらの寄港地をこちらにざっと紹介しますね。
香港
滞在日数:1日
横浜を出航して10日目に着いたのが香港。
スタッフの業務としては香港から乗船してくる香港のお客様のチェックインを手伝ったため、香港を楽しんだのは夕方からでした。
港が街の中心地から離れていたために、港から出ているバスに乗って、香港に詳しい同僚と一緒に夜のモールに行きました。
同僚がお勧めしてくれた美味しい夕食を食べたことしか正直記憶にありません。
この時とは別に出張で香港に行ったときも食事が美味しかったことが印象に残っています。
私の中では今のところ香港=美味しい食事です。
シンガポール
滞在日数:1日
香港と同じく、シンガポールからもシンガポールやマレーシアのお客様を迎える業務があったので、あまり港からは離れませんでした。
それでも、港がモールに接していることもあり、ちょっとした買い物や食事を楽しむことが出来ました。
シンガポールは多民族が住む国なので、色々な国籍の食事が楽しめますし、言葉も英語が通じるので、動きやすいです。

シンガポールは
日本人でも楽しみやすい国ですね。
ペナン島( マレーシア )
滞在日数:1日
最初の予定ではスリランカのコロンボに寄港するはずでしたが、街中で爆発があり、危ないということで急遽このペナン島が寄港地になりました。
コロンボの現地の人が使うという歯磨き粉が気に入っていたので、買おうと思っていた私はこの寄港地変更にがっかりしました。
しかし、ペナンは穏やかでバスも走り、観光しやすいのでのんびりするには良い場所でした。
あちらこちらに屋台市場があり、暑い中、地元の人たちと食べたマレーシア料理も私の好きな味でした。
ポートサイド( エジプト )
滞在日数:2日
ラマダン最中のエジプトに寄港。
現地の親切な女の子が声をかけてきて、スーパーに行きたいというと連れていってくれ、買い物の手伝いもしてくれました。
そして、いつか自分もいろんな国を見て、将来は政治家になりたいと目をキラキラさせながら語ってくれたことを覚えています。
2日目にほとんどの乗客が、ピラミッドなどの遺跡を見るツアーに参加しました。
私もそのチャンスがあったのですが、早朝で休憩なしの弾丸ツアーと聞いて断念しました。
トイレ休憩なしで5時間走るというそのツアーに、魅力を感じられませんでした。
ですからラマダンで、モスクから祈る声しか聞こえない静かな港町を散策することにしたのです。
一軒だけ開いていたコンビニ風のお店で、お兄さんがいきなりハムやら玉子やら出してエジプトの朝食を作ってくれたのが印象的でした。
エジプト=親切な人たちというのが私のエジプトの印象です。

海外で親切にしてもらえると、
とてもありがたいですよね。
サントリーニ島( ギリシャ )
滞在日数:1日
3度目の訪問になったサントリーニ島はいつ来てもどこ見てもフォトジェニックな観光地。
今回は観光ツアーの同行スタッフとして、メインではない港からツアーバスに乗り込みました。
現地のガイドの説明を聞きながら、まだ行ったことがなかったワイナリーを訪ねました。
ツアーが終わるころ、私も乗客と一緒に賞を受賞したという美味しいワインをゲット。
何度でも行きたい島です。
⇒サントリーニ島への行き方!船で世界を2周半した私がお教えします
ピレウス( ギリシャ )
滞在日数:2日
船内業務を終えた夕方にピレウスの街を散策し、意外と色々お店があることを発見したことを覚えています。
2日目はさすがに近くのアテネに行きたいと電車に乗り込み、休憩時間内で見られるものだけ急いで見ました。
またその夜に乗客からも、そして同僚からもスリ体験談を聞いたのもこの街でした。
カタニア( イタリア )
滞在日数:1日
港からすぐに石畳の街の中心に行くことが出来、市場やレストラン、お店も豊富にあるので、楽しく観光できます。
暖かい日差しの中、美味しいイタリア料理とワインを楽しみました。
一緒に回った友達が美人さんだったため、お店のおじさんや道で通り過ぎるおじいさんまでもが彼女に向かって、
「 Bella Bella!( 美しい! ) 」
と声かけてきたのが、イタリアらしいなぁって思いました(笑)
バレッタ( マルタ )
滞在日数:1日
滞在時間はあまり無かったのですが、この美しい街でもやはり食事は美味しかったです。
また気候も温暖なので、ほとんどのお店は外にテーブルとイスを出して、みなそこで食事を楽しみます。
食事中、ストリートミュージシャンの演奏が耳に心地よいBGMとなり、さらに心地よい時間を作ってくれました。
⇒【世界一周旅行】マルタ共和国の旅行!街全体が世界遺産でビックリ!
モトリル( スペイン )
滞在日数:1日
都会のバルセロナと違って、どちらかというと、夏の避暑地といった感じののどかで綺麗な街です。
港の近くにはビーチがあり、一緒に行った同僚がそこで泳いだりして夏のスペインを楽しみました。
タンジェ( モロッコ )
滞在日数:1日
ヨーロッパの国が続くなか、立ち寄ることができた北アフリカの国、モロッコの港街タンジェ。
こちらも寄港したのがエジプトと同じくラマダン時期の最中でした。
しかし、ポートサイドとは違って、昼間でも市街は賑わい、市場や雑貨店などがカラフルにひしめき合う楽しい街でした。
ポンテデルガーダ( ポルトガル )
滞在日数:1日
港にはプールがあったり、公園があったりと今までの寄港地の港とはちょっと違います。
どちらかというとモダンな雰囲気が漂う、こざっぱりとした街です。
街中のお店の他にも歩きやすいモールもあったりして、「 住みやすい街ランキング 」に入るかもと思ってしまいました。
ニューヨーク( 米国 )
滞在日数:2日
1日目は、911のテロ以降、ニューヨークへの入国が厳しくなり、対応に時間がかかったために街に出たのは夕方以降になりました。
それでもこの日が週末だったために近くの公園で開催されていたラテン音楽のフェスティバルを楽しみました。
また、賑やかな都会を散策したりと、ニューヨーク市の夜を満喫しました。
2日目はニューヨーク在住の友達と落ち合って、新しく出来たという観光スポットをいくつか見て回りました。
モダンなアート作品の数々にはさすがNYといった斬新さがあります。
印象的だったのは意外にもベジタリアンになったという友達と一緒に食べたキッチンカーの美味しいイスラエル料理。
辛いけど、くせになる美味しさでした。
モンテゴベイ( ジャマイカ )
滞在日数:2日
こちらはキューバのハバナに寄港する予定が、この年の米国トランプ大統領が、
「 米国に入国した船はキューバに寄港できない。 」
という法律を突然発令したために、急遽ジャマイカに寄港地が変更されました。
キューバに行きたいから乗船したという人は数多く、この発表を聞いて泣いている乗客を何人も見かけました。
そんな乗客を慰めようとジャマイカ1日目は、レゲエミュージシャンたちが船上でライブをしてくれたりしました。
また、船員たちも船長がパーティを催してくれたりと、楽しい夜を過ごしたことが記憶に新しいです。
美しいビーチも楽しいジャマイカですが、緑も多く、奥地に入ってのいかだに乗っての川下りはゆったりしていました。

ついつい昼寝をしてしまいそうになりました。
⇒【世界一周旅行】ジャマイカのモンテゴベイはカリブ海のリゾート地
カルテヘナ( コロンビア )
滞在日数:1日
美しい旧市街として有名なカルテヘナは港に緑が美しい公園や動物園があるなど、最初から美しい光景が待っています。
城壁があったり、面白いモダンアートな彫刻が並んでいたりしていたのを覚えています。
特に何を買ったとか食べたとかの記憶はないのですが、散策するだけでも楽しく美しい街です。
クリストバル( パナマ )
滞在日数:1日
昔は栄えていた港町のクリストバルも今はすっかり治安の悪い街となってしまいました。
港から離れない場合は港に隣接している小さなショッピングモールに行くことのみ許されたため、ほとんどの乗客はバスツアーを申し込んで出かけて行きました。
私はというと、パナマに友達が住んでいたので、迎に来てもらいました。
そして、彼女が住むパナマシティに行き、ショッピングはもちろん、美しい歴史建造物が並ぶ旧市街を散策出来ました。
イースター島
滞在日数:3日
イースター島には大きな港がないために船は沖に停泊し、島の漁業の方たちが仕事で使うボート( 4~5人乗り )で迎えに来てくれます。
しかし1日では全員( 約1000人 )は上陸できないということ。
また波が高いシーズンだったために、船からボートに乗り移ることも困難な場合もあるということから、滞在が3日間になりました。
私も上陸させてもらえたのですが、波が高いということで2日目の上陸が3日目に変更されました。
それでも上陸できたことは良かったです。
広大な大地やあちらこちらで見かけるモアイ像など、胸がいっぱいになる光景を目にすることが出来ました。
⇒【世界一周旅行】チリのイースター島観光で900体ものモアイ像が!
パペーテ( タヒチ )
滞在日数:1日
肌寒かったイースター島を抜けて到着した南の島はカラッとした暑さでした。
市場で雑貨などを物色するのも楽しいし、またパールが採れることでも有名ということもあり、記念に購入することもこの島の楽しみ方です。
そんな中、私たちがふと入った可愛らしい教会で座って雰囲気を楽しんでいたら突然結婚式が始まったのです。
思わず参加者になってしまったことも楽しかった思い出です。
⇒【世界一周旅行】タヒチの観光!おすすめスポットと旅行の費用を紹介
ラウトカ( フィジー )
滞在日数:1日
ここはインド?と勘違いしてしまうほどインド系の人が多い島です。
当然ながらインド料理のお店も多く、スーパーでは色々なスパイスが並んでいて思わず色々買いこんでしまいました。
街から街へバスが簡単につかまりますが、夜に港に帰るバスの中では運転手がもの凄い音量で曲をかけていました。
バス内がクラブ化していたのが、何といっても印象的でした。
地元の人は仕事などから疲れて帰るのに、バスの中がこんなんでいいのかと思いました。
しかし、バスの乗客は慣れているのか、何も文句も言わず静かに乗っていました。
⇒【世界一周旅行】フィジーとはどんな国?観光したらドはまりした魅力
ブリスベン( オーストラリア )
滞在日数:1日
港の周りは住宅地とお店がちょこっとある位で、にぎやかな中心地などの観光スポットへは遊覧船に乗ります。
モールというよりは、商店街と言った賑やかな街に寄って歩きまわりました。
しかしその前に寄港した島々と、全く違う都会的な風景がそこにありました。
ケアンズ( オーストラリア )
滞在日数:1日
ブリスベンとは違って、あまり高い建物もなく、のんびりした街です。
おしゃれなレストランも多く、ちょっと優雅なランチが楽しめました。
ラバウル( パプアニューギニア )
滞在日数:1日
今回の世界一周の旅の最後の寄港地はたぶん今まで寄港した島の中で一番未発達な土地ではないかと思う島でした。
道端ではお土産物を売る人がとても多いです。
一番まで行くと、地元の人が買う大量のバナナと、噛みたばこの一種である植物が多く売られていたという記憶しかありません。
見分け方が上手な人は美味しいバナナ( 試食させてもらったけど、本当に美味しい! )を買っていました。
しかし、売りに出されていたほとんどのものがまだ青いバナナです。
これを日本に着くまでに熟させて食べようとしている人がいましたが、その願いはほぼ叶わずに日本に到着したと思います。

日本についてから
美味しく頂きました。
まとめ
3か月間と少し、やはり仕事で乗船しているために、客として乗船している時とは違ってストレスも多かったのは確かです。
でも新しく出会ったスタッフ仲間や、船員たちとの楽しい時間は本当に支えとなりました。
また客として乗船していた時は子連れだったために、寄港地でゆっくり食事を楽しむなどが出来なかったのですが、今回はそれが叶いました。
とはいえ、やはり3か月間子供達に会えないのはきついと感じました。
毎日向き合うパソコンの待ち受け画面を子供たちの画像にして、最後の方は「 あと何日で横浜 」とカレンダーを睨んでいました。
ネットは船内では有料だということ、そして海の状況では繋がらないということもありました。
そのため寄港地に着くと、ほとんどのスタッフや船員は上陸してはネットが通じる場所を探して家族と連絡を取ったりしていました。
私もその気持ちが分かりました。
横浜に着くと、少し大きくなった子供たちが笑顔で迎えに来てくれました。
そんな気持ちのアップダウンがある船旅も、やっぱり降りるとまた行きたくなります。
港から船に乗った時のワクワク感もくせになります。
また気軽に世界に向けて出ていけるようになったら乗船したいですね。
⇒【世界一周旅行!】船旅で回った国のルートや費用などをまとめてみた
この記事で少しでも旅行気分を味わって頂けると幸いです。
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